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【生薬枕】
最近になってきて、生薬枕が注目を集めているが、歴史が古い割には普及も研究も少ないようである。
中国では前漢の武帝(前141~前87年在位)の時代からの長い歴史があり、生薬枕の種類も使用も多い。
日本での生薬枕は生薬と共に中国によるところが多い。
現代中国の生薬枕
1. 内蒙古自治区呼和浩持市福黄中医薬保健制品厂
「睡眠中に体温によって枕の中の有効成分をゆっくり発散させ、臭覚、皮膚、針灸のつば、経絡や他の感覚器を通じて臓器、血管、頭脳の働きや血液の循環をよくし、新陳代謝を促進して全身の活力を回復することで病気の予防と治療に役立たせる。呼和浩特市福黄中医(中国とモンゴル医)研究所の黄恵郷と子息の黄海超氏が配合した外治漢方薬・・・」[漢方学外治法による病気の予防に関する保健用品シリーズ説明書より筆者要約]
黄氏老年降圧枕(写真2109)、黄氏青年保健枕、黄氏ヰ薬安眠健脳枕(黄氏漢方安眠健脳枕)、黄氏中薬玉容枕(黄氏漢方玉容枕)、黄氏中薬保胎優生枕(黄氏漢方保胎優生枕)、黄氏中薬幼児枕、黄氏中薬児童枕などがある。
詳細は「枕の博物誌」(白崎繁仁)。
2.上海中医学院、上海市中医薬研究院、研制抗衰老薬枕(写真2111)
3.中国山東医科大学漢方医薬研究室、同大学付属医院による薬草枕
4.中国成都中医学院南部中薬保健用品廠の製品百歳保健枕(写真2108) その他各種のものがある。
【香枕(匂い枕)】
【枕の曲芸】
多数の箱枕や木枕を使って、枕を重ねたり、角を使って形状を変えたり、さまざまな操作をする曲芸(枕返し)で慶安年間(1648~1651年)に竹田四郎兵衛が放下(中世、近世の巷間芸能師)と組んで演じた。
延宝(1673~1681年)の頃には江戸では長島玉之助が枕返しの名手として評判であった。江戸中期以降では大道芸となり、角兵衛獅子もこれを演ずるようになった。
あざやかな枕返し寄席の夜日置英坊そのた耶郷の枕(棒や網の上でひじ枕をして横になり、空中に浮上する)、枕おどり[木枕(箱枕)を使ってお手玉のようにする曲芸]などが見物客を集めていた。
枕の遊び では枕相撲〔握りこぶしの上に木枕(箱枕)を置き、ぶつけ合って落ちた方が負け。
又は2個の枕(坊主枕、くくり枕)を床上に立てかけて先に倒れた方が負〕、枕引き(木枕の両端を二人が指先でつまんで引張り合う)、枕なんこ〔小豆や小石の入った小枕(お手玉)を片手或いは両手で放り上げながら何個握れるか〕、枕落し、枕顛狂などがあった。
枕引きさせてはよわい油売り 江戸川柳
【安産の枕】
お産は病気ではないとはいえ、女性にとっては大変苦しく、また危険を伴うものである。
このような不安を除いたり、子宝に恵まれるようにと、神社に枕や物品を奉納して安産や病気の回復を祈願した。
このような風習は東北地方に多く、北海道にもある。
士別神社(北海道)、八雲神社(北海道)、宮城神社(北海道)、小牛田山神社(宮城県)、小牛田山神講(宮城県)、山神社(宮城県)、竹駒神社(宮城県)、西方寺(宮城県)、塩竃神社(宮城県)、山崎コンセイサマ(岩手県)、子安観音堂(岩手県)、日根神社(大阪府)など。
(詳細は枕の博物誌 白崎繁仁 北海道新聞社)
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