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【旅枕】
江戸時代の旅は徒歩が主で馬やカゴはたまに使う程度だった。
道や旅籠(宿)も十分でなく道中での獣や盗賊の心配もあって、持ち物の小型化、軽量化と共に身や所持品を護るために、いろいろな工夫が凝らされた。
ちょうちん、火打石(発火具)、磁石、日時計、早道(携帯用銭入れ)、銭刀(脇差型の金子入)、脇差(護身用)、胴乱(タバコ入)、矢立(筆記具)、裁縫具、くすり、弁当箱、枕、行燈、わらじ、笠、引回し(道中合羽)など…、持物が多い。
川越、川止、関所などもあって昔の旅は費用も苦労も多いものであった。
大井川での渡し料は水量によって42文(股下)~94文(肩まで)と5段階の差があり「天保14年(1834年)」川止ともなると宿泊料は平均200文ほどかかった。
月代(理髪代)24~33文、按摩24~48文の頃である。
一般に使われた旅枕では、これまでの木枕、組木枕(組合せ枕)、箱枕などを小型にしたものや折りたたみ式、分解組立式にして小型化、軽量化したものが多い。
また長道中に備えての貴重品入れの枕では1段~3段などの引出し付や盗難防止のためのタテ引きヨコ引きなどの引出しかくしなど驚くような工夫がされている。
行燈、ローソク、ソロバン、筆記具、帳面など旅の諸道具を巧みに組み込んだ枕など旅枕には面白いものが多い。
職業上の枕では飛脚枕(枕兼用の胴乱)、馬喰枕(金庫兼用、重厚、鍵付)、沖枕(漁師道具入れ兼用、舟枕、プゾーなど)、きこり枕(移動に便利、使用範囲が広い、ひも穴付)などがある。
大正時代の鉄道の貸枕や連絡船などに備付られていた貸枕なども旅枕の仲間ともいえる。
【旅枕その2】
諸国道中金の草鞋 廿二 十返舎一九著 月麿画 文化十年
【旅枕(旅の装い)】
【旅枕その3】
【旅枕その4】
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