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白崎枕コレクション1,000余点に古書・博物館などの枕を加えて写真紹介
【陶枕(せともの枕、茶わん枕)その1】
陶枕は陶磁器製の枕で、鎌倉時代に中国から渡来した陶枕が当時の上流社会の一部の人達の間で、趣味の枕として夏季用に使わていたといわれている。
日本で陶枕が作られたのは江戸末期から明治にかけての頃で、中国の陶枕をまねて、夏季用や趣味の枕として伊万里で雑器として少数が焼かれたが、極く一部の愛好家のみの需要で一般には普及しなかったので、数も種類も多くはなかったが、後年愛知県の瀬戸や佐賀県の有田、鍋島、唐津などでも雑器として焼かれるようになった。
現在でも枕全体からみると数は僅少ではあるが作られている。
中国での陶枕は七世紀の唐代前期には焼かれていたといわれている。
中国の暑い地方では陶枕の冷涼感が喜ばれ、実用性も高かったようだが、日本では中国のような普及はなかった。
これは日本と中国との気候風土の違いにもよるが、中国では陶枕は不老長寿の枕、よい夢を見る枕として古代から上流階級の間で大変珍重されたことが普及に役立ったものと思われる。
昭和初期の一時期大変流行したことがあり、昭和10年頃私の家でも父が持っていた。ただし、使用している処は見たことがないので仮眠用にたまに使ったものと思われる。
“茶わん枕”の呼び名は陶磁器の中では茶わんが一番多く焼かれ、陶磁器の代表的なものであることから陶磁器の代名詞として使われていたからであり、“せともの枕”は瀬戸の焼物が全国に送られていたことからこのように呼ばれていた。
私の家では産地に関係なく、焼物をすべて“せともの”と呼んでいた。
有田焼の枕も“せともの枕”と呼ばれていたようである。
唐津焼の多い地方では“からつもん”と呼ばれていた。
中国の陶枕をまねた形や図柄が多く、角形、楕円形、丸形、半円形、豆形、八角形、安土形、婦人形、童子形や、竜、唐獅子、猫、虎など動物形のもの、凹凸をつけた指圧形、水冷形、香をた くもの、陶片をつないで枕掛としたもの、これを利用した枕などさまざまな形がある。
図柄も豊富で縁起のよいもの、長寿を願ったもの、竜、虎、唐 獅子など強い動物や縁起のよい文字、詩文を入れたもの、色彩が豊かなものなどさまざまなものがある。
陶枕に共通していることは構造が中空で空気の流れがよく、冷涼感があって頭寒に適していることである。
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【陶枕(せともの枕・ちゃわん枕)その2】
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【ガラス枕(ガラス香枕)】
日本でのガラスの枕は数が少ない。
世界的に有名なのは、ツタンカーメンの美しい青緑色のガラス製枕である。
「中国文化のルーツ(下)」(郭伯南考、東京美術、人民中国雑誌社共同編集、東京美術、平成2年)には「唐の蘇顎(そがく)の 『杜陽雑編』に唐の元和八年に古代ローマ帝国から重明枕が献上されたが水晶のようで中に建物や人物があって生きているようである」とあるが、たぶん内側に絵を画いてあるガラスの枕であろうとしている。
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