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【 革 枕 】
革を主材料とした枕で多くは染色した革の枕側の中に詰め物をした丸形(坊主枕)、角形、平形、楕円形、安土形(骨組がある)などがある。
また、角形の木箱に革を張ったもの、箱にふたをつけ、錠をつけて貴重品入れ兼用としたもの、朱漆をつけこれに金や黒漆で縁起のよい図柄や文字を入れた高級なもの、箱枕や撥枕につけるくくり小枕、飛脚枕(枕付胴乱)などがある。
昔は中空の革枕は遠くの音も聞えるとして珍重された。
漆画韋枕(うるしえなめしかわまくら)は中国の「魏武上雑物疏」に漢の献帝御物としてある(韋枕は革枕のこと)。
また中国では昔、牛の革で箙(えびら)を作り、戦場でこれを枕にすると人馬の声がよく聞えたとしている。
毛皮(羊皮など)を枕側としたものがあるが数は少ない。
【金属の枕】
金属を主原料とした枕で、鉄線、鋳物、鉄板、スプリング、アルミニウム製などがある。
冷涼感があることから夏用枕に多い。
昭和中期頃藤枕に代って鉄線製の角形、丸形、机形など作られ流行したことがある。
やや大型のスプリングの枕は10~20個のスプリングを組合わせた枕で昭和30年頃にベッドのスプリングマットのメ-カーなどで作られた。
明治~昭和初期のスプリング製の枕もあるが数は少ない。
江戸~明治の旅枕には、鉄線を組合わせたり、鉄線と鉄板を組合わせたものがある。
金属製の枕は数は少ないが変った枕が見られる。外国製では径1cm長さ2cmほどの弱いスプリングを詰め物とした枕もある。
醍醐天皇[寛平9年(897年)~延長8年(930年)]の金の枕というのもある[「枕の博物誌」(白崎繁仁、北海道新聞社1995年)]。
【 化学製品の枕 】
ゴム製の水枕(No.951,960,961)や携帯用の空気枕、枕の一部にゴムを使用した枕などは大正時代には既に使用されており、現代でも数は少ないが使われている(旅枕2067~2074参照)。
化学製品の枕が目立って多くなったのは昭和中期以降からである。
ラバー、ウレタン、プラスチックなどを材料として成形して作られた枕では、形造りが容易なことから丸形、角形、平形、かまぼこ形、波形、凹凸形、その他さまざまな変形型がある。成形されてない軟質のチップ材も弾性のよい詰め物材として使われている。
化学製品の詰め物材には通気性をよくしたパイプ形、中空楕円形、丸形、粒状、スライス状などがあり、更に硬、軟、厚い、薄い、太い、細いなど種類が多いので利用範囲も広い(詰め物材料の項参照)。
プラススチックを骨材として他の材料と組合わせた枕には中空形、頭頚部に合わせた形、逆湾曲形などさまざまな変形型がある。
夏季用として保冷剤を組合わせたもの、水槽をつけ気化熱を利用したもの(No.956)、磁器を組込んだもの(No.963)などもある。
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